法務大臣と面会しました -自動車運転死傷行為等処罰法の改正を求めて-

関東交通犯罪遺族の会(通称:あいの会)代表顧問弁護士として2024年1月23日、小泉龍司法務大臣と面会し、交通犯罪の法改正について要望書を提出しました。
要望の要旨は以下の通りです。

現在の過失運転致死罪の法定刑は、その上限が7年と定められていますが、あまりにも危険運転致死罪の法定刑の上限20年と開きすぎています。
そのため、その中間にあたるような悪質な事案については実態に即した適切な刑罰を課せられないのが実情です。
そこで、上限を引き上げる必要があります。

また、限りなく危険運転致死傷罪に該当しそうな案件でも、捜査機関による証拠収集能力に限界があることや、危険運転致死傷罪の法律の文言が曖昧で解釈に幅がありすぎるなどの理由から、本来なら危険運転致死傷罪で立件すべきところ、やむを得ず過失運転致死傷罪に認定落ちして起訴せざるを得ない消極的な案件も後を絶ちません。
そのため多くの交通犯罪の遺族が悔しい思いをしております。
このままでは、悪質且つ重大な事案について逃げ得を許すことにもなりかねません。
危険運転致死傷罪の法文を分かり易く改正する必要があります。

さらに、制御困難な高速度類型の危険運転致死傷罪については、一般道を時速100㎞以上出しているにも関わらず、「直線道路だから制御できる」などという著しく非常識な解釈が一部でまかり通っています。
国民が納得できるような常識的な解釈をして、起訴・不起訴を決めるべきです。
以上の視点から、以下の要望をしました。
(1) 過失運転致死傷罪の法定刑を引き上げてください。
(2) 重大な危険且つ悪質な事案について取りこぼしがないよう危険運転致死傷罪の構成要件を今よりも広く、且つ分かり易く改正してください。
(3) 制御困難な高速度類型(法2条2号)の事案に対し、直線道路であるからといって一律に起訴をためらったり、起訴して高裁で敗訴したりしても、安易に上告を断念したりしないでください。

資料はこちら「要望書」